『THE JUON/呪怨』の個人的な感想・考察

 『THE JUON/呪怨』の個人的な感想・考察

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①『THE JUON/呪怨』(2004年・アメリカ/日本・監督:清水崇)

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② あらすじ(起承転結・ネタバレあり)

【起】

東京。

アメリカ人留学生のカレンは、恋人ダグとともに日本で暮らしながら福祉を学んでいる。

ある日、介護スタッフの洋子が突然仕事へ来なくなったため、カレンが代わりに高齢女性エマの住む家へ向かうことになる。

その家こそ、

佐伯家。

中へ入ったカレンは、荒れた室内と、怯えた様子のエマを見る。

さらに、封鎖された部屋の中から物音を聞き、

そこに少年を発見する。

少年の名は、

俊雄。

しかし、

この家には普通ではない何かがいる。

やがてカレンは、天井付近から現れる伽椰子の姿を目撃し、

エマは死亡。

カレン自身も強烈な恐怖にさらされる。

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【承】

警察が佐伯家を捜査すると、

屋根裏から複数の遺体が発見される。

一方、

物語は現在だけでなく、

この家に関わった人々の時間を前後しながら進んでいく。

佐伯家へ引っ越してきたアメリカ人一家。

マシュー。

妻ジェニファー。

母エマ。

そしてマシューの妹スーザン。

一家は日本で新生活を始めるが、

佐伯家へ住んだ時点ですでに呪いへ触れていた。

ジェニファーは家の中で俊雄の気配を感じ、

マシューも異常な出来事へ巻き込まれる。

スーザンに至っては、

家を離れて自分の職場やマンションへ戻っても怪異から逃れられない。

つまり、

呪いは家の中だけに留まらない。

一度障れば、

外へ逃げてもついてくる。

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そして、

行方不明になった洋子も、

すでに伽椰子の犠牲となっていた。

後に彼女は、

顎を失った異様な姿で現れる。

家に関わった人間が死に、

その死者自身まで怪異の一部となって次の人間へ現れる。

呪いは、

被害者を増やしながら連鎖していく。

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【転】

カレンは、

佐伯家で過去に何が起きたのかを調べ始める。

そこで明らかになるのが、

伽椰子、

夫の剛雄、

息子の俊雄、

そして伽椰子が想いを寄せていた大学教授ピーターの存在。

伽椰子はピーターへの想いを日記へ書き残していた。

それを夫の剛雄が発見。

嫉妬と怒りに駆られた剛雄は、

伽椰子を惨殺し、

俊雄までも殺す。

その強烈な怨念が、

佐伯家に呪いを生み出した。

伽椰子が死んだから終わったわけではない。

むしろ、

そこで始まった。

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ピーターもまた、

佐伯家へ足を踏み入れ、

惨劇の痕跡を目撃してしまう。

そして翌日、

自ら命を絶つ。

一方、

長年この事件を知る中川刑事は、

佐伯家へ関わった捜査関係者たちが次々と死んだことを知っていた。

だからこそ、

彼は最後に家そのものを燃やそうとする。

だが、

家へ入った時点で、

彼もまた呪いの中にいる。

浴室に現れた剛雄によって、

中川刑事も死亡する。

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【結】

カレンの恋人ダグは、

彼女を探すため佐伯家へ向かってしまう。

それを知ったカレンも急いで後を追う。

家の中で、

カレンは衰弱したダグを発見する。

どうにか連れ出そうとするが、

そこへ伽椰子が現れる。

階段を這い降りる、

あの姿。

ダグは助からない。

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カレンは、

中川刑事が用意していたガソリンを使い、

家へ火を放つ。

佐伯家そのものを焼けば、

この呪いも終わるかもしれない。

だが、

カレンだけは救出されるものの、

家は完全には焼失しない。

そして、

ダグの遺体を確認するため訪れたカレンの背後には、

再び伽椰子がいる。

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呪いは、

終わっていない。

家を燃やしても、

逃げても、

知っても、

どうにもならない。

一度障れば、

終わり。

それが、

『呪怨』。

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③ 考察・感想・まとめ

普通に面白かった。

というより、

安定の『呪怨』だった。

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今回初めてハリウッド版1作目を見たけど、

印象としては、

オリジナルビデオ版。

日本の劇場版。

そこで積み上げてきた要素を、

さらに海外向けに整理して一本へまとめ直した感じ。

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かなり見やすい。

日本版を知っている人なら、

「あ、ここをこう変えたのか」

という差異を楽しめる。

逆に、

日本版をまったく知らない人でも、

この一作だけ見れば

『呪怨とはどういう作品なのか』

かなりちゃんと理解できる。

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呪いがどう生まれたのか。

伽椰子とは誰なのか。

俊雄とは誰なのか。

佐伯家へ関わるとどうなるのか。

死者がどう連鎖していくのか。

時間軸がどう交差するのか。

その基本文法が、

かなり整理されている。

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ただ、

途中でふと思った。

**これ、清水崇監督本人が撮ってるの、

ハリウッド版リメイクとしては反則じゃない?**

と(笑)。

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普通、

海外リメイクの面白さって、

元の文化圏とは違う作り手が、

その作品をどう解釈して、

自分たちの文化へどう翻訳するか、

そこにもあると思う。

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でも今回は、

『呪怨』を作った本人。

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そりゃ、

時間軸も、

伽椰子も、

俊雄も、

障ったら終わりという呪いの感覚も、

全部正解を知っている。

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本人が、

自分の作品を海外向けに作り直している。

だから、

これはある意味、

ハリウッドによる『呪怨』の解釈

というより、

清水崇監督による海外向けセルフリメイク

なんだと思う。

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そう考えると、

そりゃ安定してる。

ズレようがない。

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ハリウッド版2作目まで清水崇監督で、

3作目から別監督。

だから、

海外スタッフが本当に自分たちなりに

『呪怨』をどう料理するのかを見るなら、

3作目以降のほうが面白いのかもしれない。

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そういう意味では、

先に見た2020年の

『ザ・グラッジ 死霊の棲む屋敷』

への評価も、

今回かなり上がった。

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2020年版には、

清水崇という

“答えを知っている人”

がいない。

それでも、

時間軸。

複数人物。

呪いに障るという感覚。

家に関わった者が次々に破滅する構造。

調査しても助からない。

家を燃やしても終わらない。

そこまで、

かなりちゃんと『呪怨』の文法を拾っていた。

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これは、

よくやったと思う。

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しかも、

今回2004年版を見たことで、

2020年版とのつながりもかなりはっきりした。

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2020年版の冒頭、

フィオナ・ランダースは、

日本の佐伯家で介護の仕事をしていた。

そして、

アメリカへ帰る際に、

電話で

「洋子」

という名前を出している。

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なるほど。

つまり、

2020年版は日本版だけを基準にしたわけじゃない。

明確に、

この2004年ハリウッド版の世界を基準にした枝分かれストーリー

なんだ。

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フィオナが佐伯家で働く。

違和感を覚える。

アメリカへ帰る。

その仕事を洋子が引き継ぐ。

そして、

洋子が消える。

カレンが代わりにやって来る。

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2004年版の横で、

別の呪いのルートがすでに始まっていた。

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これ、

結構いい。

シリーズ愛もちゃんとある。

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だからこそ、

2020年版で一番惜しかったところも、

逆にはっきりした。

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フィオナは、

佐伯家の呪いに障って、

アメリカへ持ち帰った。

なら、

ランダース家で最初の惨劇が起こるところだけは、

伽椰子か俊雄を明確に出すべきだった。

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そうすれば、

佐伯家の呪い。

↓

フィオナ。

↓

ランダース家。

↓

ランダース家の死者も呪いへ。

という因果が、

一本できれいにつながる。

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でも、

そこを出さなかった。

結果的に、

2020年版は

**佐伯家から呪いという記号だけ持ち帰って、

その後はランダース家が本体になった**

ように見えてしまった。

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いわば、

ランダース呪怨。

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今回2004年版を見たことで、

そこだけはやっぱり惜しかったと再確認した。

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ただし、

それ以外を考えると、

2020年版は本当にかなり頑張っていた。

清水崇というズルなしで、

あそこまで『呪怨』を再現した。

そこは高く評価したい。

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話を2004年版へ戻すと、

作品そのものはもちろん安定している。

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ただ、

個人的には、

シリーズをかなり見ているので、

どうしても

「あ、次これ来る」

「あの場面だ」

「ここで伽椰子」

とわかってしまう。

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さすがに、

少し見飽きた感はあった。

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でも、

これは完全に私個人の事情。

作品の欠点ではない。

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むしろ、

初見の海外観客に対して、

これだけ整理して『呪怨』を提示したのは、

かなり優秀だと思う。

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それと、

見ていて意外と違和感があったのが、

佐伯家に外国人一家が普通に住んでいること。

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日本版を見ている側からすると、

あの家にはもう

「絶対に入ったらダメな場所」

というイメージが完全に出来上がっている。

そこへ、

外国人一家が普通に引っ越してきて、

普通に生活している。

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なんか、

ものすごく変な感じ(笑)。

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でも、

これもハリウッド版ならでは。

日本という異文化圏で暮らす外国人。

言葉も完全にはわからない。

土地の事情も知らない。

当然、

あの家の因縁も知らない。

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そう考えると、

外国人を主人公側に置く意味もちゃんとある。

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彼らにとっては、

ただの日本の家。

でも、

観客は知っている。

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そこ、

入っちゃダメ。

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この情報差も、

結構面白い。

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そして最後まで、

ちゃんと『呪怨』。

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カレンが原因を調べる。

伽椰子の過去を知る。

呪いの正体も知る。

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でも、

知ったから勝てるわけじゃない。

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家を燃やしてもダメ。

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恋人も助からない。

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最後には、

まだ伽椰子がいる。

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この、

「理解したから解決できるわけではない」

というところが、

やっぱり『呪怨』。

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呪いは、

謎解きではない。

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正体を知れば解除できるシステムでもない。

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障ったら、

終わり。

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そこを海外向けに変に明るくせず、

最後まで守った。

これは大事。

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なので総評としては、

**かなりよく整理された、

清水崇監督本人による海外向け『呪怨』再構築版。**

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日本版経験者には、

新鮮さこそ少ない。

でも、

『呪怨』そのものの出来は安定している。

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そして、

この作品を見たことで、

2020年版が

ただの後発作品ではなく、

このハリウッド版の世界からきちんと枝分かれした作品だったこともわかった。

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そこまで含めて、

見てよかった。

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次は、

ハリウッド版2作目、

そして清水崇監督ではなくなる3作目まで、

続けて見てみたくなった。


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