『心霊写真部 劇場版』『心霊写真部 リブート』の個人的な感想・考察
『心霊写真部 劇場版』『心霊写真部 リブート』の個人的な感想・考察
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①『心霊写真部 劇場版』(2015年・日本・監督:永江二朗)
『心霊写真部 リブート』(2016年・日本・監督:永江二朗)
『劇場版』は2015年公開の101分作品。『リブート』は旧作を新たな視点で作り直した「廃屋」と、新作「消えない顔」を収録した作品になっている。
キングレコード
今回は元になったOVA版を観ずに、
『劇場版』→『リブート』
の順番で視聴。
それでも基本設定は十分理解できた。
劇場版がシリーズ全体の大きな縦軸を進める続編・完結編的な内容で、リブートを旧OVA版の再構築として見ると、作品世界そのものはかなりわかりやすい。
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② あらすじ(起承転結・ネタバレあり)
【起】
高校生の二宮佳夕は、ひょんなことから学校の写真部へ入る。
ところがそこは普通の写真部ではない。
扱っているのは、
心霊写真。
ネットなどを通じて送られてくる不可解な写真を、牧村部長や先輩のリリとともに調査する、
その名も
「心霊写真部」
だった。
設定だけ聞くと、ちょっと馬鹿馬鹿しい。
でも彼らは本当に調べる。
写真が撮られた場所へ行き、
関係者を探し、
過去を調べ、
そこに写り込んだものが何なのかを突き止めていく。
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【承】
この作品で面白いのは、
心霊写真を単なる
「ほら、ここに顔が写ってる!」
で終わらせないところ。
一枚一枚の写真には、
そこに写った死者がいる。
そして、
その人が生きていた時間がある。
何が起きたのか。
なぜ死んだのか。
なぜ今も写真へ現れるのか。
佳夕たちが調査することで、その背景が少しずつ明らかになる。
だからこれは怪談であると同時に、
死者の過去を調べるミステリーやサスペンス
にもなっている。
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そして各エピソードとは別に、
謎の少女。
巷を騒がせるマスク姿の殺人鬼。
佳夕自身に関わってくる不可解な出来事。
そうした縦軸が少しずつ進行する。
一話ごとの心霊写真を楽しみながら、
「このシリーズ全体では何が起きているのか」
も追える構造になっている。
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【転】
『劇場版』では、それまで断片的だった出来事が徐々につながり、
佳夕自身も大きな怪異へ巻き込まれていく。
心霊写真部が扱ってきた小さな怪異だけではなく、
マスク殺人鬼や謎の少女の存在が、
シリーズ全体の物語へ収束していく。
一方の『リブート』は、
この基本フォーマットを改めて見せ直す。
心霊写真が一枚ある。
調査する。
そこに死者の物語がある。
そして、
写真の意味が変わる。
この型そのものが、
改めてかなり強い。
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【結】
二作品を続けて見ると、
『心霊写真部』が何をやりたいシリーズなのかが非常にわかりやすい。
単なる心霊写真集でもない。
単なる学園ホラーでもない。
怪異を調査し、
写真の向こう側にいる人間へ近づいていく。
そして各話の怪談とは別に、
佳夕たち自身の物語も進んでいく。
非常にシンプルで、
だからこそシリーズ化しやすい構造になっている。
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③ 考察・感想・まとめ
普通に面白かった。
映像や演出にはどうしてもB級感はある。
豪華でもない。
最新のホラーという感じでもない。
でも、
Jホラーとして非常に安定している。
そして何より、
エコエコアザラクなんかを観ていた世代には、
かなり馴染みのある感触がある。
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この作品の最大の強みは、
やっぱり
「一枚の心霊写真から一つの物語を作れる」
ことだと思う。
これはシリーズの土台としてものすごく強い。
廃屋でもいい。
学校でもいい。
旅行写真でもいい。
家族写真でもいい。
集合写真でもいい。
今ならスマートフォン、SNS、監視カメラ、クラウド写真まで使える。
写真さえ一枚あれば、
そこから一話作れる。
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しかも、
写っている幽霊をただ怖がるだけではない。
「この人は誰なんだ?」
「どうしてここにいるんだ?」
と調べる。
最初はただ怖かった写真が、
真相を知ることで悲しい写真に変わることもある。
この、
死者にも人生があった
という感覚が、すごく日本の怪談らしい。
幽霊=倒すモンスター、
ではない。
その人がなぜ残っているのかを見る。
ここに共感がある。
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そして、
この形式ならいくらでも話を広げられる。
一話は軽い学校怪談。
次はかなり重い死者の過去。
次は憑依もの。
次は家族の因縁。
次は嫉妬や恋愛。
たまには後味の悪い話。
いくらでも振れる。
それでも、
「心霊写真部が一枚の写真を調査する」
という入口だけは変わらない。
だからどの話からでも見やすい。
連続ドラマにも、
コミカライズにも、
ものすごく向いている。
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最初のOVA版が広くヒットしなかったのも、なんとなくわかる。
この作品、
最新の刺激を求める若い層へ真正面から刺しに行くタイプではない。
むしろ、
昔の怪談。
学園ホラー。
心霊写真。
部活。
幽霊の過去。
そういう古典的な記号を楽しめる人向け。
しかもOVAという媒体なら、
そもそも届く層がかなり限られる。
ところが一旦ニコニコなどでホラー好きの目に触れると、
「これ、結構いいじゃん」
となる。
その流れはすごく納得できる。
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今ならむしろ、
サブスクの連続ドラマとしてかなりいけると思う。
一話20~30分。
毎回一枚の心霊写真。
数話に一回、
マスク殺人鬼や謎の少女といった本筋を進める。
シーズン終盤で縦軸を一気に回収する。
ものすごく配信向き。
しかも現代化しても基本設定を壊す必要がない。
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そして個人的に、
もう一段上へ行けると思ったのが、
昔の学園怪奇ものが持っていた「湿度」の加算。
これは単純なサービスカットを増やせ、
という話ではない。
むしろ逆。
わざわざサービス目的の場面を入れたら、
『心霊写真部』の純度は落ちると思う。
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ゾンビ映画なら、
酒。
ハードロック。
パーティ。
馬鹿な若者。
セックス。
はい、この人たち死ぬな。
みたいなもの自体がジャンルの様式美になっている作品もある。
それはそれでいい。
でも、
『心霊写真部』には合わない。
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この作品に欲しいのは、
文脈の中から自然に生まれる身体性や背徳感。
恐怖で身体がこわばる。
倒れる。
痙攣する。
憑依される。
雨に濡れる。
逃げる。
狭い場所へ追い込まれる。
怪異によって身体の自由を奪われる。
そういう状況を不自然に無菌化せず、
身体がそこに存在するものとして描く。
その結果として、
昔の怪奇作品にあったエロスや危うさがにじむ。
そのくらいがちょうどいい。
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昔の『エコエコアザラク』や、
つのだじろう先生の『学園七不思議』あたりには、
恐怖だけではなく、
背徳。
身体。
死。
嫉妬。
欲望。
じめじめした人間関係。
そういうものが一緒に存在していた。
だから怪異にも独特の湿度があった。
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『心霊写真部』は、
そこまで重くない。
むしろ爽快感がある。
調べる。
わかる。
次の怪異へ行く。
このテンポの良さは、
これはこれで大事。
だから全部を重くする必要はない。
でも、
シリーズの中に時々、
ものすごく重い一枚
があってもいい。
「こんな過去があったのか」
と引きずるくらいの話。
そこへ憑依や身体性、背徳的な人間関係などを必要な範囲で入れる。
普段が見やすいからこそ、
そういう一本が強烈に効く。
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映像面では、
キャストも良かった。
こういう規模のホラーは、
派手なCGよりも、
顔。
目線。
呼吸。
動き。
身体演技。
そこがそのまま怖さになる。
特に痙攣。
あれは頑張っていた。
下手だったら一気に安っぽく見えるところだけど、
ちゃんと作品の名物になるだけの勢いがある。
公式側でも、牧村部長の激しい痙攣がシリーズの特徴として扱われているくらいだった。�
zelicofilm
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結局、
このシリーズを気に入った最大の理由は、
まだまだ良くできると思えること。
これは欠点とは少し違う。
土台が悪い作品なら、
何を足しても根本から作り直さないといけない。
でも『心霊写真部』は違う。
基本フォーマットはもうできている。
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心霊写真。
調査。
死者の過去。
怪異。
一話完結。
そしてシリーズを貫く大きな謎。
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ここまで揃っている。
だから、
あとは加算できる。
もっと重い話。
もっと怖い話。
憑依。
因縁。
背徳。
身体性。
現代的な写真媒体。
映像の質。
演技。
美術。
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**古い記号で固めている安定した作品だからこそ、
昔のホラーが持っていた良さを、そのまま足せる。**
ここが強い。
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最新のものに全部置き換える必要はない。
むしろ、
古典的な怪奇ものの気持ちよさを残したまま、
今の技術でクオリティを上げてほしい。
コミカライズなら、
実写では扱いにくい心理描写や怪異表現にももっと踏み込める。
配信ドラマなら、
一話完結+縦軸という構成を存分に使える。
まだまだ展開できるIPだと思う。
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B級感はある。
新しくもない。
でも、
わかりやすくて、自然で、ちゃんと面白い。
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そして、
エコエコアザラク世代の私には、
かなり刺さった。
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『心霊写真部』。
気に入った。
今度またリブートするなら、
単に綺麗に作り直すだけじゃなく、
このシリーズがもともと持っている
学園怪奇ものとしての強い土台
を活かしながら、
もっと怖く。
もっと重く。
もう少し湿度も高く。
一段上の作品へ育ててほしい。
普通に、
続きが見たいシリーズでした。
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