悪寒と高熱と関節痛
『悪寒と高熱と関節痛』
ちょうど私自身コロナになったので、この機会に誰もが経験ある高熱がでるときの悪寒と、インフルエンザなどで起こる関節痛についてお話したいと思います。
●悪寒と発熱の関係について
言われるまでもなくご存知の通り熱が出る前兆として悪寒がしますよね。まずこの『悪寒』ですが、
単に寒くて震えているわけではありません。
細菌やウイルスそのものが寒さを生み出しているわけでもありません。
まず、身体に細菌やウイルスなどの外敵が侵入すると、これをやっつけようと身体は様々な反応を起こします。
その中で活性化した免疫システムは細菌やウイルスにとって不利な環境、つまり温かい環境を作ることで外敵の活性化を抑制し、免疫有利な状態にしようとします。細菌やウイルスは熱に弱いですからね。
具体的には筋肉を小刻みに動かして熱エネルギーを産生しています。
この筋肉の微細な運動がゾクゾクと感じる『悪寒』の正体ですね。
体温を上げるための反応で発熱することから『発熱性悪寒』と言うこともあります。
この悪寒がとくに激しく、歯がガチガチ鳴ったり、体がブルブルと震えたりするような強烈な症状を伴う場合は『悪寒戦慄(おかんせんりつ)』といいます。
風邪程度ではここまで重度の悪寒はそうならないでしょうけど、インフルエンザなど強いウイルスが相手の場合ですと起こりやすいですね。
こうした場合、体温は39℃以上などの高温に昇ります。
高熱がでるときは激しい悪寒がある、ですね。
悪寒がしたら高熱がでるサイン。しっかり厚着やお布団の調整などで身体を温かく保つようにしましょう。
※悪寒がする時点では、です。
●悪寒がするときにしてはいけないこと
悪寒は、体温が下がっていて寒いわけではありません。身体が冷えているというわけでもありません。
なにかしらの病気の前兆です。
そのため、熱いお風呂に入浴する、といったことはNGです。
理由は、まず入浴は思いの外体力を消耗します。熱いお風呂ともなれば急な血圧上昇も伴い一層消耗してしまいます。
また、発汗によって脱水となってしまう場合もあります。
加えてめまいや立ちくらみなどの危険性もあります。
身体は既に病気の状態にありますから、これらは逆効果となってしまい、かえって症状を悪化させてしまいますので入浴は控えましょう。
どうしても身体が気持ち悪くてゆっくり休めない、そんな時はやむを得ずぬるま湯で長湯はしないで身体だけ綺麗にして早く出ること。そして湯冷めしないようにしっかりと温かくすること。そしてたくさん水分を補給すること。
※飲酒は勿論NGです。
●発熱したらどうするべき?
多くの場合、悪寒がしてから発熱し、高熱にまでなると悪寒は治まるかと思います。
ここで注意点。体温が上昇しはじめると、すぐに解熱剤を服用してしまう方が少なくありません。これは止めましょう。
体温が上がるのは免疫システムが外敵と戦うためで、必要な反応です。まだそれほど高熱でもない時点で解熱剤を服用し体温を下げてしまうと、かえって外敵との戦いを長引かせてしまい、なかなか治らない状態が続いてしまいますので、すぐ服用するのは避けて経過を診ましょう。
身体は、高熱になりすぎると解熱剤に頼らなくてもたくさん汗をかいて、今度は上がりすぎた体温を下げようとします。
まずは氷枕などを使い、身体の自然な力で経過を診てください。
汗をかいたあとは身体を拭いてすぐに新しい服に着替えましょう。
あまりに高すぎる場合、体力を消耗しすぎてしまうので、そうした場合にのみ解熱剤は服用しましょう。
※過剰に服用するのもNGです。用法用量は厳守しましょう。
少し迂回しましたが次は高熱と関節痛との関係です。
●発熱と関節痛
少し難しい話になりますが、外敵との戦い、つまりは炎症が起こっている状態はどんな状態か。もう少し掘り下げてみます。
まず、外敵に対し有利に戦うために発熱をしたいと免疫システムは動きます。しかし免疫システムが単独で筋肉を動かすことはできません。筋肉を動かしてくれるのは脳です。そのため脳へ情報を伝達する必要があります。
免疫システムの中で、この伝達の役割を担っているのがIBDではお馴染みのサイトカインという物質です。
簡単に説明しますとサイトカインは免疫細胞を活性化させることと炎症を伝達するのがお仕事の物質です。このサイトカインの働きによって細胞たちは外敵とのバトルをはじめます。
IBDの治療においてはサイトカインを抑制するお薬を使うことが多いので誤解されがちですが、サイトカインは決して『要らない子』というわけではないのです。
サイトカインの働きによって情報はどんどん伝達され、身体の防衛能力は向上しますが、体温を上げるためには脳へ報せなければなりません。しかしながらこのサイトカイン、脳へは直接伝達しに行けないのですね。
そのため、脳へ伝達させるためにサイトカインは情報を詰め込んだ『プロスタグランジン(PG)』という物質を生成し、血液に乗せて情報を脳へ伝達させます。
プロスタグランジンは脳の体温調整中枢へ働きかけ、その結果、脳は『なるほど!では体温上げさせよう!』と、筋肉を小刻みに動かして体温を上昇させ、免疫が外敵と戦うのをサポートします。
これで舞台は整いましたね。
しかし、プロスタグランジンにはデメリットがあります。残念なことにこのプロスタグランジンは『ブラジキニン』という痛みを引き起こす物質の働きを強めてしまう効果もあるのです。
はい、そうです、これが関節痛や筋肉痛の原因です。
少し長くなりましたが、このようなメカニズムとなっているため、高熱を伴う病気の場合、同時に関節痛や筋肉痛を伴うことが多いのです。
●しんどい関節痛、どうしたらいい?
選択肢は主に3つ
①解熱鎮痛剤を服用する
アセトアミノフェン、イブプロフェン、ロキソプロフェン、いずれも解熱効果と鎮痛効果がありますので、これらを服用して軽減させるという処方をされることが最も多いかと思います。
しかし、どれだけ症状が辛くとも、あまりお薬の効果がないことがあっても、処方された用法より多く服用してはいけません。
②痛みのある患部をマッサージ・ストレッチ
マッサージをすることで血行が良くなり、痛みがやわらぐことがあります。
身体が強張っていて身体中の筋肉が固く痛くなってしまっていることもあるので効果的ではあります。
しかし、マッサージしてるときは気持ち良くても、すぐにまた痛くなってしまいます。だからといってマッサージをやりすぎてしまうとかえって筋肉を傷つけてしまい、症状を悪化させてしまう場合もあります。
程度の見極めが難しいため、マッサージはやりすぎず、軽めのストレッチを寝て起きたらストレッチ、寝て起きたらまたストレッチ、のように取り入れるのが望ましいです。
③湿布薬
『冷湿布・温湿布』
どちら効果はあります。冷感・温感による血行改善、水分を多く含んだ湿布薬そのものによる気化熱で皮膚の温度は多少下がり、症状がやわらぎます。冷感・温感どちらでもこの効果はあります。
そして湿布薬の主な成分であるサリチル酸メチルは鎮痛作用があります。(弱め)
『非ステロイド性消炎鎮痛剤 貼付剤(パップ剤)』
こちらが最も効果を感じられるかと思います。メジャーなものですと『モーラステープ』などですね。
高い鎮痛作用・解熱作用を持ち、接触している場所のプロスタグランジンの合成抑制の働きがあるため、発熱時の関節痛に効果的です。
以上ご紹介しましたが、いずれも完全に痛みを取り除けるわけではありません。あくまでもやわらげる、軽減させるという範囲です。
※お薬は必ず医師や薬剤師の指導の元に使用してください。
●まとめ
寒気、悪寒は身体が細菌やウイルスに対して有利に戦うために脳が身体を小刻みに動かして体温を上昇させる、その際に感じるゾクゾク。
悪寒の後は高熱になるが、自然なことでそれ自体にはなにも問題はない。
高熱に伴い関節痛・筋肉痛が生じることもあるが、この現象も自然なことでそれ自体にはなにも問題はない。
高熱、関節痛が重度の場合には解熱鎮痛剤の服用や、湿布したなどを用いて症状を緩和させよう。
過剰に解熱鎮痛剤を服用してはいけない。
です。ほとんど当たり前のことですが、今一度、再認識していただけたら幸いです。
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