無菌室と誤認識される陰圧室って、本当はどんな部屋?
無菌室と誤認識される陰圧室って、本当はどんな部屋?
コロナ禍がはじまった当初、重症患者を隔離する病室として『陰圧室(いんあつしつ)』という言葉を、ニュース等でよく見聞きしたことと思います。
この陰圧室のことをいわゆるところの『無菌室』だと勘違いしている方が多いのですが、このブログをはじめた頃は既に緊急事態先月が解除され、徐々に社会がコロナ禍以前に戻りつつある状態だったので、お話しするタイミングがありませんでした。
ですがつい先月、記事『採血・注射・点滴雑学パック』でスピッツが陰圧になっているというお話をしたので、ちょうど良い機会なので今回は、陰圧って何なのかな?圧力の動きの仕組みを利用した2つの『隔離部屋』についてお話をしていきたいと思います。
まず『陰圧室』は、『無菌室』ではありません。一般的にいうところの無菌室とは『陽圧室』のことです。
では、順にお話していきましょう。
●陰圧室の仕組み
コロナ禍でよく見聞きした陰圧室からご説明します。
・陰圧とは、外よりも気圧が低い状態のことをいいます。これがスピッツであると、先月お話した真空採血管(スピッツ)で、部屋であると陰圧室ですね。
入れ物の内と外とで、外よりも気圧が低い状態。
・陰圧室はどのようにして室内を陰圧にしているか
一般的な換気システムは、換気口から自然任せの空気の流動と、ドアなどからの空気の流動があり、室内の圧力は一定ではありません。
これに対し陰圧室は室内の排気量を給気量よりも増やして室内の圧力を下げ陰圧の状態を作り、気流を内向きに維持しています。
より細かく説明しますと、
・空気は高圧から低圧のほうへ流れていきますから、お家にあるような通常の換気口のように自然任せの不規則で不安定な空気の流動ではなく、人工的に空気を外へ出す割合のほうを多くすることで、室内の気圧を下げ陰圧の状態にします。こうして陰圧にすることで空気の流れは外から内への流れになり、常に内向きとなります。
(※たくさん外へ出すと、内へ向かって空気が流れる気流が作られます。これは気圧の力学ですね。出した分だけ入ってこようとする、外と内を一定にしようとする、そういう働きです)
・常に内向きということは、入ってくる空気のコントロールができます。適正な量に加減できます。
・陰圧室内の空気はフィルターのある専用の換気口からのみガンガン排気しており、他の出口から外へ出ることはありません。
(※他の換気口と繋がっていない、フィルター等の諸々の防備がされた排気孔、給気孔それぞれある。分けないと感染を拡げてしまうため)
そのため、感染者が保有している細菌やウイルスがいたずらに外へ漏れ出て拡散することを防ぐことができます。安全な形で排気しています。
常にその状態であるようキープしている部屋ということですね。
『感染症患者を隔離』する上で、病室内を陰圧の状態に制御することが感染対策には欠かせないのです。
これ、ただただ排気量のほうを多くしていたら、そのうち室内の空気なくなっちゃって真空になっちゃうんじゃ?って思いますいよね。が、力学的にそうはならないということです。内向き気流なので出た分入ってくる仕組み。ここが難しい…。
周りへ拡散させないように安全な形で排気して、適正な量の空気はちゃんと入ってくる。
排気と給気のバランスを自然任せでなく少しいじって人体に悪影響ない範囲で外よりは低圧にしている、ということですね。
こうした隔離部屋が『陰圧室』です。
※ちなみにこの隔離が通常の隔離です。
●陽圧室の仕組み
・陽圧とは陰圧の逆で、外よりも内の圧力のほうが高い状態です。
高いところから低いところへ流れる仕組みは変わらないので、排気量より給気量を多くすることで外よりも室内の圧力を高め陽圧の状態を作り、気流を外向きに維持しています。これが『陽圧状態』です。
・常に外向きに維持されているため、通常の換気口のように外から内へ空気が入ってくることはありません。
(※フィルターを通ったたくさんの綺麗な空気を内へ取り入れることで高圧になり、その分、外へ向かってし空気は出ようとする、外と内を一定にしようとする働き)
・フィルターのある専用の換気口からのみ給気し、常に綺麗な空気しか入取り入れません。
(※他の換気口と繋がっていない、フィルター等の諸々の防備がされた排気孔、給気孔それぞれある。分けないと汚染を持ち込んでしまうため)
つまり、外向き気流を作り陽圧状態に制御することで綺麗な空気だけをガンガン取り込み、その分、外向きに排気されますので、内はクリーンな空気オンリー。雑菌まみれの汚い空気は換気システムとしては絶対に入ってきません。
そう、これが『無菌状態』です。
こうして病院内の周囲の汚染から抵抗力の弱い患者さんを守るために逆隔離する部屋、それが『陽圧室(無菌室)』です。
※陰圧室と逆の方法で隔離しているから逆隔離。
●そんなわけで、『隔離』とはいっても二種類ある、ということがわかったかと思います。
力学的なことは難しいので、完全に理解しているかというとそうでもありません。これくらいの説明が限界なくらいで、正しく説明できているかどうかはちょっと自信がありませんが、
以下のことだけ理解できれば大丈夫↓
・陰圧室は、
感染拡大の防止として感染者を隔離する場合は、陰圧室に隔離し、外へ細菌やウイルスが拡散されないようにする。
・陽圧室は、
白血病など、強い抗がん剤を投与したり、免疫力が極めて弱っている患者さんは、陽圧室(無菌室)に隔離し、周囲の汚染から守ります。
ですね。換気うんぬんの難しいことは抜きにして、隔離部屋って、こういうこと。
新型コロナウイルスが大ブレイクしていたパンデミックでは、この陰圧室の数がまったく足りず、拡大化を赦してしまいました。
感染者がまだ極少数のうちに陰圧室に隔離することができたら、拡大化は防げたかも、しれません。
しかしそう簡単なことではないということは、三年間でよくわかりましたね。一気にバンバン毎日増加しまくってたら、いくら陰圧室があっても足りない足りない。
水際対策がまず失敗したことが致命的でしたね。
まぁ、拡大化してしまった原因を考えるのは専門家に任せるということで、今回は無菌室と誤解されてがちな陰圧室についてのご説明でした。
無菌室は陽圧室ですよ。
仕組みがわかれば覚えるのも簡単ですよね。私の説明でわかるかは自信ないですけど。別に、いつものお話と同じく、覚えなくても全然問題ございません。ただの素人雑学。
感染症、免疫疾患、いずれにせよ、こうした隔離部屋を使わずに済むよう、健康には気をつけたいですね。
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