採血・注射・点滴雑学パック2
『採血・注射・点滴雑学パック2』
前回は採血や点滴以外の注射について主にお話しましたが、今回は点滴がメインのお話になります。
●点滴セット 各部位名称
●点滴って、立ち上がったりすると血が逆流するのなんで?
そもそも血流の強さよりあのポタポタ落ちてるやつのほうが強いって、どんなパワー?
・血液が逆流する現象を『逆血(ぎゃっけつ)』といいますが、これは大変重要なことです。
心臓が動いているので、血管に針を刺して出口を作れば当然そこから血は溢れ出ます。
採血でも、点滴でも、針を刺したら逆血はあるものでそれが自然です。
しかし、きちんと血管に刺せていない場合、逆血はありません。
そのため、お薬を注射する場合も点滴する場合も採血する場合も(静脈注射や点滴施行時)に、ルートが血管内に正しく入っているか、漏れはないかを確認するために、血液が逆流するか必ず調べます。
これを『逆血確認』といいます。
シリンジを引くなどして血液が逆流してくるかきちんと確認してから次の過程に移ります。
・点滴の自然滴下では、体位や肢位によって滴下速度が変わります。
これは、『輸液ボトルの位置と刺入部位の位置との落差』が滴下速度に影響を与えているためです。
ようするにこの落差、物理の基本の『mg=f』ですね。きっと。
m質量×g重力加速度=f下向きに働くエネルギー
という公式です。
シンプルに、この落差によるf(滴下のエネルギー量)は血流のエネルギーよりも大きいから、あのポタポタ程度でも血液が逆流することなく輸液ができるわけです。スゴい。
・この原理を利用しているため、点滴スタンドが低くなりすぎるとボトルの位置も低くなり、滴下速度が遅くなります。
また、輸液残量の減少による滴下圧の減少によっても、滴下速度は遅くなります。
速度が遅くなったり止まったりしてしまう理由には、体位による静脈のうっ血があります。うっ血生じると滴下速度は遅くなりますが、体位変換によって静脈のうっ血が解消されると速くなります。
・点滴が終わると、少しだけ血液が逆流することがありますが、輸液製剤(点滴のパック)内が減圧しているため、多少は逆流します。しかし心配ありません。 そのまま針を抜いて終了です。
・点滴中に立ち上がったりしたときに血流が逆流する原因には、輸液製剤を心臓より下に下ろしたか、腕が圧迫されて静脈の中の圧力が高くなったかのいずれかになります。
輸液製剤が心臓よりも完全に下になることはそうはありませんが、落差が激減しているため血流のエネルギーのほうが勝って逆流の原因になります。
輸液製剤を元の位置に戻して点滴の滴下を観察し、問題なく輸液ができていれば点滴棒を高くし、滴下速度を再度調節します。
そうしないとトイレのたびに逆血してしまって血が固まって詰まってしまいますからね。
●金属の針とビニールっぽい針とあるけど、どっちがイイの?どう使い分けされてるの?
針を穿刺して針を留置し、針とカテーテルと補液製剤を繋いで製剤を滴下する方法がいわゆる『点滴』ですね。この補液製剤を落とすための注射を『ルート確保』といいます。
・採血針の場合や、点滴以外の注射の場合は金属の針で、刺して採血あるいはお薬の注入をしたらすぐ抜きますが、点滴の場合では『静脈留置針』という針を用います。これには金属製の翼状針と、ポリウレタン製の留置針があります。ビニールっぽいのはコチラですね。
・違いですが、金属針の場合、穿刺部位(針を刺したところ)を曲げたり動かすことができません。(針が血管を貫いてしまう)
また、ポリウレタン製の留置針よりもルートがとりにくく、痛みもあり、長時間の点滴を行う場合には患者さんの負担も大きくなります。動けないですし。また、ヒトによっては金属アレルギーがでる場合もあります。
・これに対しポリウレタン製の留置針は、『シリコン製留置針』と呼ばれ、商品としてはテルモの『サーフロ』、『スーパーキャス』などがポピュラーですね。
サーフロというのもテルモの留置針のことですが、他のメーカーさんの留置針でもついサーフロと呼ぶこともままあるそうです。
『カットバン』のことをつい『バンドエイド』って言っちゃったり、『宅配便』をつい『宅急便(ヤマトさん)』と言っちゃうように、俗称化してる感じですね。
・構造としてはテフロンコートされた柔らかいポリウレタン製のカテーテル(外筒)の内側に金属針(内針・内筒)がある二重構造となっていて、ルート確保をしたら内針を抜いてポリウレタン製のカテーテルだけを留置する形になります。
※①+②の一体の状態で穿刺し、②を抜いて、①だけ残して留置します。
X線不透過性で、X線による確認もできます。
ポリウレタン性なのでとても柔らかく、留置後に体温でより柔らかくなります。穿刺した部位を動かすことができ、痛みも少なく、アレルギー反応も起こりにくいため、患者さんの負担が少なく、長期間の留置が可能になっています。
・使い分けとしては、やはりクリニック等では金属製のことが多いです。これは金属製は安価であることと、クリニックでの点滴の場合は1~2時間程度の補液でしたりお薬でしたり、短時間で済むケースかほとんどのため、長期間留置できるポリウレタン製の留置針を使う必要があまりないためです。
大学病院等では、入院患者さんにはシリコン製留置針を用います。入院患者さんはずっと点滴してますからね、より品質の良い物を使います。
静脈留置針にも、様々な種類があり、お値段も大きく変わっていきます。
一番安価なのは金属の直針ですね。
シリコン製留置針で、穿刺手技中の曝露防止弁(逆血が少しだけでたところで止まる→目に見えて逆血の確認はできるが、そのまま溢れ出すことがない。また抜針したときに圧迫止血の必要性がない)が付いている機能や、
内針がノック式のボールペンのようにカシャッ!と引っ込んで安全カバー内に収納される(誤刺防止、)機能など、
衛生的で安全性の高い仕組みがたくさん盛り込まれています。
そのため高価にはなります。
参考:スーパーキャス5
・固定テープは、一番安価なのはサージカルテープで止めるだけですが、長期的に点滴をする場合はシリコン留置針と同様により安全で衛生的な品質の良い固定テープが望まれます。
というのも、穿刺部からの感染や炎症の予防、剥がれ防止、蒸れ軽減、多少の水濡れなら大丈夫、などが求められるためです。
こうした固定テープは、たいていのメーカーで、『一枚の台紙にいくつものパターンのテープが付属』していて、作業がしやすく、
不織布の仮止めテープで固定してから、透明なフォルムの大判のテープを貼り付けて二重固定し、針が抜けたり脱落することを防ぎます。
また、透明フィルムのため穿刺部が視認しやすく、炎症起こしていないかの確認がとてもしやすいです。
しかし、やはりサージカルテープに比べるとかなり高価にはなります。
※ちなみに、針もテープもコストのことに触れましたが、安価な物を使っても高価な物を使っても、患者さんが負担する医療費に変わりはありません。
同じ医療行為なので同じ点数です。
なので、私たち患者側にとってはコストはまったく関係ありませんね。
※私は金属製の留置針では穿刺部がすごくかぶれ、サージカルテープも汎用なのではかぶれますので、他の針も固定テープもクリニックには常備しておらず、私用にわざわざ購入してもらうことになりました。
●針の色が違うことがあるけど、なにが違うの?
・注射針は太さが大変細かく別れています。通常、浸透圧の高いお薬や濃度の高い栄養を注入する場合、太くなります。また、採血の場合でもできるだけ短時間で終わらせるために太い針を使って素早く多く血液を採取します。
・針の太さと色ですが、点滴をする場合に色違いを目にすることがあるかと思いますが、太さによって色分けがされています。
注射針の規格は、注射針の外径を表す単位である『G(ゲージ)』の番号で示され、 Gの番号が小さくなるほど太い注射針になります。
また、Gの番号によって針基の色が異なっていて、注射針の種類が一目でわかるように工夫されています。
この太さの色分けを『カラーコード』といい、全メーカー共通で太さと色とが統一されています。
※国際標準化機構(ISO)規格に統一。
実は、2007年まではこのカラーコードは統一されておらず、メーカーによって色が異なっていました。
・病歴が長い方で、複数の病院で点滴治療をされたことがある患者さんは、「あれ?いつもと色が違う」、「太さ同じなのに前の病院と色が違う?」という経験があるかもしれません。
これは病院で扱ってる針のメーカーの違いのせいですね。現在は統一されているのでどこの病院にいってもどのメーカーでも色と太さは変わりありません。
一般的に多く使われている針を少しご紹介しますね。
①24G黄色
最も用いられることが多い針で、痛みも少なく細い血管でも刺しやすい(ルートをとりやすい)です。手の甲などの細い血管でも用いられます。
ただし、細いので高速で点滴を落とすことができませんし詰まりやすい欠点はあります。
②22G濃紺
採血用針(採血の針)は主にこの太さ。21~23Gですがだいたい22Gの病院が多いと思います。24Gよりも太くなってる分、ルートをとりにくくはなりますが速く点滴を落とすことができます。刺すときの痛みが多少あることと、細い血管にはあまり向かない欠点があります。
③20Gピンク
あまり使うことはない太さです。24Gが0,7mmなのに対し20Gは1,1mmとかなり太くなっているので、刺すときの痛みも強いです。
浸透圧の高いお薬を注入する場合に用います。
④17~18G
『採血用針のカラーコード』で赤~ピンク
主に献血で用います。太いので速い!!
さて、雑学パック2回に分けてお話しましたが、思いの外長くなってしまいましたね。
SNS等でよく見聞きする地味に気になることといえばこんなところでしょうか。
今回お話したことより細かいことは私もわかりません。
入院中に看護士さんとコミュニケーション取ることが多いと思いますので、そうした機会に色々教えてもらったりすると良いかと思います。私もそうしてました。
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