IBDの腹痛と腰痛
『IBDの腹痛と腰痛』
IBDによくみられる症状として、腰痛があります。
合併症としての『結石』や『大腸癌』、あるいは生活習慣などに起因する『仙腸関節炎』だけでなく、『慢性的な腹痛が原因で激しい腰痛が起こる』ことも多いのです。
今回はそんな『腹痛』と『腰痛』と関係についてお話していきます、
まずは腰痛の原因について2つお話します。
①大腸癌
※IBDの合併症ではありますが、ちょっと難しいお話になりますし長くなりますので、別項にてまとめてお話します。今回は腰痛に関するお話だけ。
大腸癌と聞くだけでそりゃ腰痛あるだろうな、と予想できる方も少なくないと思います。よく耳にしますよね。
日本整形外科学会によると、治療が必要なほどの腰痛を経験したことがある方の割合は、20代から70代の男性57.1%、女性で51.1%でした。過半数の方は腰痛を経験しているそうです。
およそ半数ですので腰痛が出たからといって、必ずしも大腸癌の兆しとは言い切れません。
大腸癌の症状が腰痛として表れることはそう多くはありませんが、長く続く腰痛には注意が必要です。
ではどうして腰痛がでるの??
原因ですが、便が動くとき(通過→排泄)に悪性腫瘍を圧迫することで臀部から腰にかけて、または肛門付近に痛みが走ることがあります。
見過ごしやすいのは、便秘でも同じような痛みがあることです。
便秘の原因の1つとして長時間の座り仕事などがありますが、これは同じ姿勢をとり続けることで腸に繋がる神経を圧迫して腰痛が起こり、さらに腰回りの硬くなった筋肉が大腸の動きを悪くし、便秘を引き起こします。また、そうなりますと大腸で溜まった便も、内側から神経を圧迫することになり、慢性的な腰痛になるのです。
IBDで直腸やS状結腸を手術している場合、便秘になりやすいこともありますので、自己判断はできないので、腰痛が酷い場合は病院を受診しょう。
②仙腸関節炎
関節炎ではありますが、IBDとの直接的関連性のない腰痛なのでIBDの合併症とは別枠のここで説明します。
※この関節炎はあんま師や整体師といった方々のほうが精通しているかもしれませんね。
仙腸関節炎とは仙腸関節の片側または両側に炎症が生じる疾患です。
仙腸関節とは、腸骨(骨盤の骨)と仙骨(腰骨の尾骨の間にある三角形の骨)の間の結合部です。
※赤い円で囲まれた関節が仙腸関節です
この関節の主な役割は下半身と上半身の間の衝撃を吸収することです。仙腸関節はほんのわずかにしか動きませんが、このわずかな動きによって身体にかかった衝撃の吸収がなされます。
仙腸関節はその周りに強度の高い靭帯が取り囲むことで構造が安定化されています。その靭帯のほかに大殿筋や梨状筋などの筋肉が仙腸関節をサポートします。腰回りものなのでガッチガチに重要な筋肉や靭帯があるということですね。
そのため、仙腸関節炎になりますと、臀部の痛みと腰の痛みが起こります。それ以外に太ももや足の付け根、下腿にも広がることがあります。
かなりの痛みで、長時間椅子に座れない、仰向けに寝られない、痛みのある腰を下にして寝ることができなかったりします。
立ちっぱなしや階段の昇り降り、大股歩きや、ランニングで、とにく強い痛みがあり、これらの運動で悪化もします。
歩行開始時に腰の痛みはありますが、ゆっくり、長時間歩行で徐々に緩和することがあります。正座では痛みがないという方もいます。
原因は、事故などの外傷による損傷、妊娠出産、重い物を持ち上げる重労働、脚の長さが左右で異なる脊柱側弯症、変形性関節症、細菌感染などがあります。
※私も座り仕事していたときに仙腸関節炎なりましたが、寝ても座っても立っても痛く、地獄でしたね・・・
ここまでで「ん?」と思った方もいるかと思います。「腰痛話ならもっとポピュラーな坐骨神経痛だとか色々病気あるし、なんでこの2つ?」と。
理由が2点ちゃんとあります。
1つ目は大腸癌による腰痛のことには触れておきたかったですね。大腸癌はIBDの合併症の1つですから。
メインは2つ目、『仙腸関節炎が腹痛による腰痛がよく似た症状』だから、です。
よく似てる、つまり、間違えやすい、ということですね。ですから仙腸関節炎のお話を先にしました。
それでは腹痛による腰痛のメカニズムをお話していきたいと思います。
事は単純です。イメージしやすいようシンプルに説明しますが、
お腹が痛いとお腹の筋肉は緊張します。それが慢性的でかつ強い痛みともなれば、緊張状態はかなりのものです。
姿勢も勿論、背中は丸くなります。お腹痛いと身を丸くしますからね。
そうなりますと、前面の筋肉は収縮している状態で、背面の筋肉は伸びている状態になります。常に背面の筋肉は突っ張っているわけですね。
ですから、腰が痛くなるのです。
そしてこの常に突っ張ってしまっている状態で急に反ったりすると、ギックリ腰とか酷ければ椎間板ヘルニアになってしまうわけですが、今はそれは置いておいて、この腰痛はただの腰痛ではない、という点です。
というのも、お腹が先か?腰が先か?が判断しにくいからです。
『腰が固くて痛いせいでお腹の動きが悪くなって腹痛になっているのか』、
『腹痛のせいで腰が突っ張って腰痛になっているのか』、どっちが先かわかりにくいため、IBDの病態の悪化に気付きにくいのです。
「腰が痛いから病態悪くなってきてるな」、と正確に判断できる方は少ないはずです。IBDに関係ない腰痛のほうが圧倒的に多いですから。
腹痛による腰痛が仙腸関節炎と似ている点は、寝ても座っても立っても痛い、立ちっぱなし、階段昇降、力仕事、大股歩き、どれも同じという点です。お腹が痛いんだからこれらの運動が厳しいことは自然ですよね。
また、ゆっくりと動くと徐々に痛みが緩和する点も似ています。
多くの方は腰が痛くなったら整形外科や整骨院などに通院するかと思いますが、腹痛からくる腰痛の場合、改善されることがありません。
腹痛の原因、すなわちIBDの病態を改善しない限り緊張状態は続き腰痛は酷くなり続けます。いくら湿布を貼ったりマッサージしたりストレッチしたりしようと、根本的な解決にならないからです。気休めにもなりません。
この状態が長期になりますと姿勢が固定されてしまうため、腹痛による腰痛は本当に仙腸関節炎を併発してしまい、踏んだり蹴ったりの状態になってしまいます。
じゃあ、どうしたらいいの?
腰痛がありましたらひとまずは整骨院などで治療をすることはよいでしょう。まず腰痛を軽くみないで早めに対処することが大切です。
そして通院二回三回で改善の兆しがないのなら、別の要因を考えてみましょう。姿勢、事故、そうではない原因。IBDのほうです。
お腹は痛くないか?痛みはなくとも下痢が続いたり血便がでたりしてないか?倦怠期や貧血や微熱はないか?
もしそれらがあったのなら、主治医にすぐに報告しましょう。血液検査である程度のことは毎月把握してるかと思いますが、『嫌な予感がする』と思って、小腸造影や大腸内視鏡検査をしたい旨を自分から伝えても良いでしょう。
もしかしたら合併症でお話しました結石の類いかもしれませんし、尿検査と超音波検査とX線検査はすぐに予約ができるでしょう。
とにかく報告すれば早く手が打てます。
様子見すぎて後手になると、IBDの治療は難しくなってしまうのはご存知の通り。
腰痛も、IBDの病態をみる評価の1つになるのだということを覚えておいてください。
※まさに私はこれで失敗しました。最初はただの腰痛。整骨院で治療してましたが良くならず、むしろ痛みは増し、ペインクリニックでブロック注射までしましたが、一時良くなってもすぐに激痛。その頃には高熱が出てました。クローン病の治療は後手になり、結果、その年に手術をすることになってしまいました。
腰痛はサインになります。要注意。
ブロック注射についてはまたどこかでお話しますね。


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